Hydrotherapy

ウォーターセラピーの効果と適応(犬のための水中リハ)

浮力・水圧・粘性という“水のチカラ”で、関節負担を減らしながら運動機能と循環を高める。どんな犬に向く?禁忌は?頻度は?実例とともに解説します。

最終更新日: / カテゴリ:リハビリテーション

ウォーターセラピーとは

犬のウォーターセラピー(ハイドロセラピー)は、水中トレッドミルや温水プールを用いて行う運動療法。関節に優しい負荷で筋力・持久力・可動域の改善を図り、同時に循環とリラクゼーションにも寄与します。

オーストラリア式のボディワークと相性がよく、タッチで緊張を緩めた後に水中で“動きの学習”を促すという流れが効果的です。

“水の三要素”が効く理由

01
浮力:体重負担を軽減(胸まで浸かると体重負担は約40%程度に)。
→ 関節痛や術後の初期リハに最適。
02
水圧:四肢の循環とむくみ軽減をサポート。呼吸筋の適度なトレーニングにも。
03
粘性・抵抗:ゆっくり動いても十分な負荷が得られ、関節に衝撃を与えずに筋力強化が可能。
ポイント: 痛みが強い時期は“強度↑”よりもフォームの丁寧さを優先します。

適応:どんな犬に向いている?

整形外科系

  • 股関節形成不全・変形性関節症(OA)
  • 膝蓋骨脱臼の術後リハ(獣医指示の範囲)
  • 前十字靭帯断裂(術後〜回復期)

運動機能・代謝

  • 加齢に伴う可動域低下・筋力低下
  • 体重コントロール(関節に優しい有酸素)
  • スポーツドッグのコンディショニング

※適応は個体差があります。痛み・神経症状・既往歴は必ず評価してからプログラムします。

禁忌・注意事項

  • 術直後・未閉鎖の創部・感染症・発熱は実施不可
  • 重度の心肺疾患・コントロール不良のてんかんは要注意(医師・獣医の許可)
  • 滑りやすい床・過度な寒冷/高温は避ける
  • 水温は28〜32℃目安(体格・目的で調整)
Safety: まず評価(歩様・触診・痛みスコア)。必要に応じて獣医と連携します。

頻度・所要時間・進め方

  • 頻度:週1回〜2回(初期は短時間・低負荷から)
  • 時間:ウォームアップ5分 → 水中歩行10〜20分 → クールダウン5分
  • 組み合わせ:陸上でのオーストラリア式タッチや軽いストレッチとセットにすると相乗効果

※疲労サイン(呼吸数↑、姿勢の崩れ、嫌がり)は即終了。翌日の動きも観察します。

事例:股関節に不安のある大型犬

千葉県/ラブラドール・レトリバー 10歳。階段の上りで躊躇、散歩は15分で終了。

プログラム:週1回のウォーターセラピー(15分歩行)+陸上での軽圧タッチ。自宅では1日5分の胸前タッチ。

2週立ち上がりが軽くなる
4週散歩20〜25分へ延長/段差の躊躇↓
6週休息の質↑/遊び時間↑

※個体差があります。痛みが強まる・跛行が続く場合は獣医受診が先です。

FAQ

Q. 自宅の浴槽でもできますか?
安全管理(滑り止め・水温・深さ)が整えば短時間の“温浴+関節の可動域づくり”は可能です。ただし本格的な歩行訓練は水中トレッドミル等が安全です。
Q. どのくらいで効果が出ますか?
早い子で2〜4週で“初動の軽さ”や“歩行時間の延長”を実感することがあります。無理せず継続がコツです。
Q. 老犬でも大丈夫?
適切な水温・時間・深さなら可能です。心肺機能・体力に応じて短時間・休憩多めの設計にします。

まとめ

ウォーターセラピーは、関節に優しく負荷をかけられる犬のための運動療法。浮力・水圧・抵抗を活かし、痛みや不安を抑えながら筋力・可動域・循環を整えます。

千葉・東京エリアでの出張施術と併せて、評価→個別設計→水中歩行→自宅ケアまで一貫サポート。まずは初回評価で安全に始めましょう。

※診断・治療は獣医師の領域です。異変があれば受診を優先してください。